クルマ雑誌編集長らが語る「クルマはもっと愉しめる!」
クルマとは . . . 自分の自由を実現するもの。 MOTOR MAGAZINE 副編集長 香高 和仁 氏 |
Q. 雑誌を作っている立場として今の世の中に伝えるべき話題がたくさんありますか?
モーターマガジンという雑誌が対象としている欧州車もそれ以外の国産車にもたくさんありますよ。むしろ毎月ページが足りないと感じるほどですね。その中で、誌面にて伝えるべきことをいかにまとめていくかを考えています。
Q. その上で雑誌の役割というのは変わってきていますか?
たとえば話題のハイブリッド車を例にあげると、ハイブリッドという技術がどういうものであるか、内容によっては全く必要のない情報でもあったりするわけです。クルマというものが単純に乗って動くためだけのものと考えれば、ハイブリッドの中身がどうなっているか、どのように造られているのか、別に知らなくてもいいことだと思います。燃費さえ良ければそれでいいという価値観も中にはあると思います。たとえばレコーダー。何故これで録音ができるのかと興味をもつ人もいれば、理屈はどうあれ録音できればいいという人もいる。色々なタイプがあると思います。
一方で我々は自分自身で興味をもつことは、それがどうなっているのか、何故そうなっているのか、資料を見てもわからないようなこと� �取材してより詳しい話を聞いてみたり、実際に手に触れて体感しながら記事として作り上げていきます。
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今の世の中、インターネットを通じて簡単に色々な情報を得られる時代になっています。それはそれでとても便利なことだと思います。一方で我々は、新しいクルマが世の中にでてきたとき、そのクルマがどういうものかというのを伝えていく役割をしています。それが計測された数値であったり、あるいは数値では表現できないものであったりします。たとえば、読者の方たちが購入される前に中々知り得ないこと。少しだけ長く乗ってみて、走らせてみて、眺めて、そして聞いて。実際に購入してずっと乗っていく中で得られるものというのは我々が取材する上で、そこまでは難しいかもしれませんが、限られた条件の中でも伝えられることがたくさんあると 思っています。幸いにして全てとは言わないですけれど、様々なクルマに乗ることができる仕事ですから、オーナーさんとはまた違った視点でそれぞれのクルマの愉しさとか個性みたいなものを少しは感じられるのではないかと思っています。たとえばフォルクスワーゲンであれば、新しい型式のゴルフもあればそれ以前の型式のもありますし、各々のグレードによってどう違うのかなど。モデルの縦軸で比較することもできれば、アウディやBMW、メルセデスなどと比較してどうかといった横軸で比較することもできます。ひとつのクルマだけを見て紹介していくというよりは、もう少し興味をもって伝えられることがあると思っています。
それに購入された方が、自分のクルマに興味をもたれて、もう少し奥にあるものを知りたいと 思われる方もいると思います。インターネットでも雑誌でも情報を得ることはできますが、雑誌のようにお金を払わないと得られない情報という意味では、我々がある程度の幅広い経験で積み重ねてきたものを背景にして伝えているということが違うと思っています。それを信頼するに値する情報と判断していただけるのであれば是非読んでいただきたいですね。雑誌の情報がインターネットなどで得られる情報と大差のないものだとしたら雑誌は読んでもらえないですよね。そこって昔から変わってはいないですけれども、それでも昔よりシビアにはなっていると思います。
Q. クルマの価値観という点についてはどうでしょうか?
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我々が雑誌で扱っているドイツ車について言うと非常に面白いと思います。よく作られていますよね。それでも、けしてよく言われる「外車だから . . . 」というつもりはありません。国産車でも十分に面白いと思われる方もたくさんいらっしゃると思っています。クルマを選ばれる方がどれだけクルマに対してお金をだせるかというところだと思います。たとえば車両価格150万出せば、国産車って十分な車種がラインアップされていると思います。大事なのはクルマに何を求めているかということだと思います。国産のコンパクトカーでも乗ってみると「これすごくいい」という方もいれば、スポーツ系のコンパクトカーで「よく走るなあ」と思うものもたくさんあります。軽自動車でも「こんなに広いのか、速いのか」って思う方もいます。実際にどう使われるか、自分がクルマをもつことでどんな満足感が得られるのかということだと思います。ドイツ車の場合、実際に走ってみると走� ��ことに関して本当によくできているなと思います。普通に片道50kmを毎日走ったとしても疲れ方とか安心感とかが違うと思います。でも国産の軽自動車であっても、今時はそのぐらいの距離を軽く走ることができるし、それなりに十分だと思います。ただ、それぞれに違いあるということは事実だと思っています。いずれにしてもオーナーとなる方の価値判断によって選べる時代なんだろうなと思います。
Q. 香高さん自身のクルマに対する価値観はどうでしょうか?
僕は今48歳を過ぎましたけど、こういう仕事ですからたくさんのクルマを試乗する機会があります。その中で、結局自分は騙せないかなと思います。実際に試乗して、「これいいなあ」だったり「これはちょっと違うかな」って思うことというのは予算とか云々ではなくその気持ちを忘れることができない。それを抑えて違うものを手に入れたとしても不満が残ると思っています。絶対に無理だなって諦められればいいんですが、あれいいなとずっと思っていると結局その気持ちというのは消えないですね。いいなということが欲しいなということだと思います。
たとえばポルシェ911にずっと憧れていて、いつか自分のものとして手に入れることができて、そして満足するかそれとも不満で手放すか。でも一度それを やってみないとすっきりできないと思いますね。手に入れて不満って思ったときに、それに手を入れていくという方法もありますよね。そうやってクルマを選ぶこと、そしてクルマとの生活を楽しむこと、そういうのがあってもいいと思います。
ジープは、バルブの調整がそれを行う自分自身
Q. 香高さん個人が思う「いいクルマ」とはどういうクルマですか?
いいクルマですか . . . ? 安心できるクルマですかね。運転していてもそうですし、運転してもらっていてもそうですね。
僕自身クルマが好きでクルマと関係のある仕事をずっとやってきて、抽象的な表現ですが車がないのは嫌ですね。クルマというのは、ある意味、自由を実現するための存在だと思っています。そう考えると別にエンジンでなくてもいいですし、モーターでもなんでもいいです。自分が思ったときいつでも自由に移動することができればいいです。それがすごく大切です。
クルマがなければないで生活はできると思うんです。それは全く問題なく、特に東京のような場所であればそうだと思います。たとえば買い物行くにしても大きなものを買うというときもお店まで公共の交通機関を利用して行って、購入したものを配送してもらう� �いうのはどこでもできるでしょう。ただ時間が掛かったりする。クルマのある便利さを知ってしまっています。クルマがあることによって思ったことがすぐに実現できるんですよね。だから走ったときに何かが壊れるとか、何か嫌なところが少しあったりするというのはダメですね。何か不安を抱えながら乗るクルマというのは嫌です。
どんなに憧れてようやく手に入れても安心して乗れないクルマというのは嫌です。何とかして安心して乗れるような状態にもっていきたいと思います。それはシートも同じなんです。シートはやっぱりレカロがいいですよ。レカロには、腰が痛くならないという安心感があるんです。座ったときに「ああ、いいなあ」というのがあります。ドイツ車で言うとシートは全般的にいいんです。標準のシ� �トでもいいんです。ただ、それでもやっぱりユーザーさんによっては合わないというケースもあるかと思います。そういう方にとっては、お金は掛かりますけど自分に合ったシートを選ぶというのはひとつの方法だと思います。それによってさらにそのクルマの魅力をしっかりと楽しめるかもしれない。それから、経年車に乗っている方なんかは、信頼できるシートに換えるというのはすごくいいと思います。
Q. 香高さんがクルマを好きになったきっかけというのはありますか?
親が自動車関連の仕事をしていたこともあって、ものすごく小さい頃から家にクルマがありました。いろんなクルマを小さい頃から見てきたこともあって、カッコいいなあと思いましたね。
Q. 最初に購入されたクルマは?
三菱のギャランGTOです。自分で購入したのはそれが最初です。これは見た目ですね。子供のときに見てカッコいいなあと思ってました。自分が免許を取得して、お店に行ったらそのクルマがあったんです。それで買ってしまいました。まだありますよ . . . (笑)。
最初にギャランGTOを購入して、その3年後ぐらいにもう1台グレードの違うものを購入しました(笑)。それから結婚する前ぐらいに家族用としてランサーです。ランサーにはレカロのエルゴメドを2脚装着しています。エルゴメドという商品が発売されてすぐ購入しましたね。僕個人はLX系のシートが好きなんです。
そのGTO2台にランサーを合わせた3台を今もずっと所有しています。
Q. 長いですね?雑誌の編集長をしていてそれだけ車歴が少ない方は初めてですが?
新しいクルマや気に入ったクルマを色々と乗り換えていく。そういうのもあると思いますし、それも愉しいでしょうね。僕はどちらかというと気に入ったらしつこい . . . 自分でもそう思います(笑)。
ただ自分の満足感です。実際に乗ると笑いますよ。こんなに遅かったかな、頼りなかったかなって思います。それをわかった上で乗っています。それが愉しいんです。
Q. 香高さんにとってクルマとは何でしょうか?
難しいですね。何なんでしょうね。 人生の一部ですね . . . なんてやっぱり言えないですよ(笑)。
お前、何言ってんだよって言われそうな気がします。
クルマはごく普通の存在で、特別なものではないですね。だけど愛着というか、腐れ縁みたいなものはありますよね。とりあえずよっぽどのことがない限りは今所有しているクルマがそのままずっとでしょうね。自分が異常だとか、馬鹿だとか、それは . . . もうわかっています(笑)。十分に認識しています。今どきのクルマの方がいいことも十分にわかっています。それでもそっと見ておいてくださいという感じでしょうかね(笑)。
ライティング後記
これまで数多くの自動車を試乗し、幾つもの編集記事を担当されてきた香高氏。クルマに対して求めるものとして「安心感」というキーワードを強調された香高氏。その香高氏に以前、どのクルマが好きか、過去にいろいろと試乗された中でどのクルマの乗り心地が良かったかという質問をさせていただいたとき、香高氏が挙げられた車種は偶然かいずれもレカロが欧州にて純正採用されているものばかりでした。たった一度のインタビューでその長い知識と経験をお聞きするのは難しかったため、是非再度機会を伺いたいと思います。
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